ひぐらしの鳴き声が夏の終わりを告げる頃、
散歩の道すがらに、小さな秋を見つけたら
いよいよ実りの季節です。
里山が黄金色に輝く秋。
頭を垂れた稲穂が涼やかな風に揺れています。
艶やかなふっくらとした新米は、なによりもうれしい秋の味覚。今回は、米どころ秋田に伝わる郷土鍋をご紹介します。具材の主役は、炊き立てのご飯を半摺りにして丸め、香ばしく焼いた「だまこ餅」。もっちりとした食感のだまこ餅にだしのうまみが染みた滋味深いお鍋です。
もう一品は、きのこおこわをご紹介します。水加減や味付けが難しいおこわですが、もち米にだしをたっぷり吸わせて蒸すという失敗が少ないレシピです。うまみと食感を楽しめるようにいろんなきのこをたっぷり使います。食卓に里山の香りを届けてくれる一品です。
最後に、だしのうまみが染み込む味わい深い秋のごはんとして、茅乃舎だしでつくるフライパンごはんもご紹介しております。
秋の実りをふんだんに使い、美味しい季節を楽しみましょう。
「だまこ鍋」をご存じでしょうか。
新米の季節になると、秋田の食卓にあがる郷土料理です。
つぶつぶ感を残しながらごはんを摺り潰し、
お手玉のように丸めた「だまこ餅」を入れるのが特徴。
土地の方言で、丸めるを表す「だまける」や
お手玉を表す「だまこ」が語源とも言われます。
秋田では地鶏のだしで煮ますが、
今回は、鶏から出すだしと茅乃舎だしを掛け合わせ、
深みを出しました。
だまこを焼く工程はひと手間ですが、
おこげを付けることで香ばしい風味を楽しめます。
新米の時期にこそいただきたい味わいです。
「強飯(こわめし)」という言葉が
語源のおこわは、
本来はもち米を蒸したものを指します。
昔は、ハレの日にしか
口にできない貴重な食べ物でした。
今でも、お祝いの席に登場する赤飯はもちろん、
季節折々の食材を使ったおこわはごちそうです。
今回は、香りやうまみが増す
秋のきのこを使ったおこわをご紹介。
おこわは硬くなりすぎたり、
柔らかくなりすぎたり、水加減が難しい…。
そんなお悩みが多いようですので
失敗が少ないレシピを考えました。
洗ったもち米は、だしで煮含めて、
蒸し器でふっくらと炊きます。
手間がかかりそうに思えますが、
コツさえつかめば簡単です。
蒸すときにもち米の真ん中にくぼみをつくると、打ち水をしなくてもムラなく上手に炊き上がります。蒸気の流れが良くなり、もっちりと仕上がります。
研いだお米は水に浸したまま冷蔵庫で一晩冷やしておくと、冷たい水でゆっくりと水分を吸収し、ごはんの甘みが増します。一晩寝かせる時間がない時は、お米と一緒に、氷を入れて炊くといいですよ。