和食は素晴らしい。そして、お客様も皆さん、喜んで食事を楽しんでくださっている。しかし、家庭では、和食離れが進んでいるのも事実。なぜ、そうなるのか。家で作る際に難しいのは〝だし〟ではなかろうか。だしをとるのが面倒だから、なかなか和食を作りたいと思わないのかもしれない。ならば、開発しよう。奇しくも、父の時代からいつの日にかと研究をしていた、だしの技術。それを生かし、さらに磨きをかけるため、ファストフード全盛時代でしたが、全国の人に九州の食文化を知ってもらいたい一心で取りかかります。
さらに、〈御料理 茅乃舎〉の「十穀鍋」のだしがおいしいから、ぜひとも教えてほしいというお客様からの声があったことも、開発の応援歌になりました。こだわったのは、河邉も大好きな「あごだし」でした。そうして、ようやくだしは誕生したのですが、この時点では、こんなにもあごだしが博多以外の地域で受け入れられるとは思っていなかったのです。
世はお取り寄せブーム。一番最初に通販でおすすめしようとしたのは「生七味」でした。この生七味、ルーツは長野おばあちゃんの柚子胡椒。作り方を習ったスタッフが、これを七味にできないかと思い、商品にしたものでした。
一方、あごだしは、カタログで小さく紹介していただけですが、だしが染みた大根が大人気となり、「大根ごと売ってほしい」という声があるほど、反響を呼びました。そうして、予想に反してじわじわと人気が出たのがあごだしだったのです。
その後、東京ミッドタウンに店舗を出さないかという話が舞い込みます。ただ、当時はやっと地元の百貨店に、〈茅乃舎〉の6坪の店舗を設けたばかり。どうなるかわからないようなときに、東京なんて夢のまた夢という状況でした。
ありがたいことに、何年もかけて度重なる要請を受け、やがて3回目のオファー。時が満ちたのでしょう。やっと出店を決意します。ミッドタウンという情報発信の中心地に店舗がオープンするや、瞬く間に〈茅乃舎〉は大評判となります。お客様の口コミの力も大きな追い風に。
おかげさまで、「だしなら〈茅乃舎〉」というよき評判がどんどん広まっていきました。このスピード感に、河邉のみならず、スタッフ一同、戸惑うほどでした。ミッドタウンに入る際に言われた言葉。「将来、世界に発信するブランドに入ってもらいたいのです」。それが今、まさに現実となってきています。
麹を基にした醬油や酢、味噌の工房は、創業以来ずっと同じ場所にあり、今も祖業の技術を大切に受け継いでいます。そして、最近、「茅乃舎 麹蔵」を新しく始めました。これはほんの一端。河邉には、まだまだ明かせない密かな企みが山のようにあるようです。どんなサプライズが待っているのか、楽しみに待ちたいと思います。
社主 河邊 哲司
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