繰り返しつくる一生ものの和食、だし巻き玉子。

めぐる季節のなかで、ふと思い出す、あの人のあの味。
「そうそう、これこれ。この味が恋しかったの」なんていわれると、
とっておきのご褒美をもらえたような、嬉しい気持ちになります。
いつでも、どんなときも、間違いない味に仕上げられて、一度覚えたなら
ずっとつくり続けたいレシピを、私たちは“一生もののレシピ”と呼んでいます。

本連載では、できる限り
・材料をシンプルに
・だしと基本調味料を使う
・日本料理の基本の調理法を取り入れること
を考えたレシピをご紹介しています。

春は、“だし巻き玉子”を選びました。
おだしをたっぷり使うお料理として、すぐに思い浮かぶのは「だし巻き玉子」。
お箸でつまむと、崩れてしまいそうなほどやわらかく、
ひと口頬張ると、ふわふわの卵の層からおだしの風味がジュワ~ッと溢れだす、
その幸せな瞬間に、ついつい頬が緩んでしまいます。

ただ、おだしの量が多くなるほど巻くのが難しくなり、形も崩れてしまいがち。
そこで今回は、料亭で味わうようなだし巻き玉子の味わいをめざしながら、
卵液に片栗粉を入れて、巻きやすくしています。
茅乃舎だしを使って、つくってみましょう。


だし巻き玉子で大切なのは、おだしの味わいを卵の中にギュッと閉じ込め、
やわらかく、ふんわりとした食感に仕上げることです。

とはいえ、水分が多く入っているため、きれいに巻くのが難しく、
形が崩れてしまったり、焼きすぎて、あのふんわり感が出せなかったり…。

とてもシンプルなお料理なのに、プロの料理人でさえ難しいというだし巻きですから、
難しくて当たり前、と思って取り掛かりましょう。

「だし巻き玉子」の手順

だし巻き玉子の手順を大きく捉えると、下記の2工程になります。

  1. だしを加えた卵液を混ぜる
  2. 玉子焼き器で焼く

「だし巻き玉子」の大事なポイント

  1. 分量をきちんと守る
  2. 卵は混ぜすぎず、コシを残す
  3. 火は、ずっと中火。玉子焼き器を動かして火加減を調整

「だし巻き玉子」のよくある失敗

おいしくしたいとおだしを入れすぎると、水分が多すぎて卵が上手く巻けません。
また、慎重になりすぎるあまり、卵を焼きすぎると、かたくなってしまいます。

今回は、卵の巻きやすさや、仕上がりのやわらかさまで考えたレシピの分量をお伝えします。

おいしくつくるコツをおさえながら、調理工程を解説します。

だし巻き玉子のつくり方
詳しいレシピはこちらを押す
だし巻き玉子のつくり方

[材料](2~3人分)

3個

A

茅乃舎だし100ml

(茅乃舎だし1袋、水400ml)

うす口醤油

小1

片栗粉

小1

サラダ油

適量

[つくり方]

  1. 鍋に水400mlと茅乃舎だし1袋を入れて強火にかけ、沸騰後中火で2~3分煮出し、100mlのだし汁を冷ましておく。
  2. ボウルに卵を割り、白身を切るように溶く。
  3. ボウルで[A]を合わせる。片栗粉は小さじ2の[A]で溶く。
  4. ②に③を加え、混ぜ合わせる。
  5. 玉子焼き器を中火で熱し、サラダ油を多めに加える。全体に油が行き渡ったら、余分な油をとる。
  6. 1/5量の卵液を流し、巻く。油を少々塗り、その後も、全量の1/5量ずつの卵液を流して焼き、巻く。これを繰り返す。
  7. 食べやすい大きさに切る。

茅乃舎だし(だしパック30袋入)

通常価格 2,268 円(税込)

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①レシピの分量を、守りましょう。

だし巻き玉子は、お菓子をつくるときと同じく、レシピの分量を守ることが大切です。
レシピの分量は、上部の「だし巻き玉子のつくり方」を押してご確認ください。

②ふわふわに仕上げるには、卵を混ぜすぎない


卵はカラザを取り、箸先をボウルの底につけながら卵を切るようにして、白身と卵黄の部分が均等に混ざるよう、泡立てないように、軽く混ぜ合わせていきます。


だしをつくります。鍋に水400mlと茅乃舎だし1袋を入れて強火にかけ、沸騰後中火で2~3分煮出し、100mlのだしを冷ましておきましょう。

片栗粉は、少量のだし(目安は小さじ2)を入れて溶いたものを全体に混ぜると、片栗粉がダマになりません。


だしと卵液を合わせます。ここでも卵を混ぜすぎないよう、箸先をボウルの底につけ、切るようにして混ぜましょう。

ざるで濾すと、よりなめらかになりますが、そのままでも大丈夫です。

③ 火は、ずっと中火。火加減は、玉子焼き器を動かす

火の調整をコンロでしようとすると、つまみを回している間に
卵を焼きすぎてしまうため、火力は最初から最後まで、中火のままで。
玉子焼き器を近づけたり、遠ざけたりして、火加減を調整するようにしましょう。

恐る恐る焼くと、焼きすぎてかたくなるだし巻きですが、
前もってポイントをおさえていれば、慌てることはありません。

玉子焼き器を熱し、まんべんなく油を染み渡らせます。側面に塗るのもお忘れなく。余った油は、小皿に返しましょう。

さぁ、焼いてみましょう。



卵液1/5量を流します。玉子焼き器を左右に返しながら、全体に卵液を広げて、プクッと泡立つところがあれば、お箸で潰します。


まず、1回目。最初は、芯となる部分をつくれたらいいので、きれいに巻けなくても大丈夫です。玉子焼き器の奥から手前に巻く瞬間、奥をさっと上げるようにすると上手に返すことができますよ。



芯となる卵が巻けたら、再度、玉子焼き器全体に、まんべんなく油を塗ります。玉子焼き器の奥側に油を塗り、卵を奥側に移したら、手前にもまんべんなく油を塗ります。


2回目、卵液を全量の1/5量流しましょう。巻いた卵をお箸で持ち上げ、その下にも卵液を広げます。卵液が半熟になったら、先ほどの要領で、奥から手前に巻いていきましょう。

お箸で巻くのが難しいときは、ヘラを使うことで巻きやすくなります。



3回目、4回目と、同じように繰り返します。

卵液が玉子焼き器にくっつかないよう、油を塗るのも忘れないようにしましょうね。

基本の和食、「だし巻き玉子」の完成です。


できたて、アツアツのだし巻き玉子に、おろし大根を添えていただきます。だし香る、ふんわりやさしい味わいのだし巻きは、おかずにも、お弁当にも、お酒のアテにもなる、万能なひと品です。

豆知識①
玉子焼き器を熱しすぎたら…。


もし、玉子焼き器を熱しすぎてしまったときは、濡れ布巾の上で冷ましましょう。コンロの隣に用意しておくと、安心ですね。

豆知識②
におい移りを防ぐために。


たまご料理は、とっても繊細なので、においが移らないよう、きれいなまな板にひっくり返しましょう。お菓子の木蓋などでも代用できます。

豆知識③
巻きすで、もっと美しく。


形が崩れてしまっても、巻きすを使えば、上品に仕上がります。巻きすで巻くときは、だし巻きをおさえないよう、角が楕円になるように巻き、粗熱がとれるまで、そのままにしておきましょう。

番外編:江戸前厚焼き玉子



甘露だしを使う江戸前厚焼き玉子は、しっかりとお砂糖を効かせることで、お砂糖がおだしを抱き込むような仕上がりに。京風のだし巻き玉子に比べて甘すぎると感じる方も多いので、甘さを控えたいときは、お砂糖を減らしてみてください。また、焼き色をつけ、大きく巻くことも特徴です。同じような材料を使うのに、だし巻き玉子と江戸前厚焼き玉子では、まったく異なるお料理になるのもおもしろいですね。

江戸前厚焼き玉子のつくり方
詳しいレシピはこちらを押す
江戸前厚焼き玉子のつくり方

[材料](2~3人分

3個

A(甘露だし)

茅乃舎だし50ml

(茅乃舎だし1袋、水400ml)

砂糖

大4

醤油

小1

大2

サラダ油

適量

[つくり方]

  1. 鍋に水400mlと茅乃舎だし1袋を入れて強火にかけ、沸騰後中火で2~3分煮出し、50mlのだし汁を用意する。
  2. 鍋に[A]を入れて火にかけ、砂糖が溶けたら火を止め、冷ます。
  3. ボウルに卵を割り、軽く溶き、②を合わせる。
  4. 玉子焼き器を中火で熱し、サラダ油を多めに加える。全体に油が行き渡ったら、余分な油をとる。
  5. 1/5量の卵液を流し、二つ折りにする。油を少々塗り、卵液を全量の1/5量流して焼き、二つ折りにする。これを繰り返す。
  6. 食べやすい大きさに切る。

茅乃舎だし(だしパック30袋入)

通常価格 2,268 円(税込)

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本連載のレシピを考案していただいています。

「春はやわらかいもの、素材そのものを感じるお料理をいただきたくなる季節です。卵のやさしい味におだしの風味が加わるだし巻き玉子は、最低限の調味料で味わいを存分に感じられるお料理。極みだしを使うのもお薦めです。お客様をもてなすなら、先に材料だけ用意していれば、つくりたてをお出しすることもできます。」

フードスタイリスト
山田洋子(やまだようこ)さん
茅乃舎の季刊誌「てまひま」でも活躍中。江戸懐石近茶流 教授の資格を保有し、日本料理の技術や作法など裏打ちされた料理の知識と技を持ち合わせながら、和食をはじめとしたご家庭でもつくりやすいレシピを提案。料理のうつくしさと、繊細な味つけに定評がある。

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