「今日は中華にしよっか?」
なんて言葉にした瞬間から、なんだか気分が盛り上がる。かつ、お財布にもやさしいみんなの日常食、中華料理。
家でつくるとき、冷凍食品や混ぜるだけの“おかずの素”はおいしくて便利だけど、そこからは少し抜け出してみたい。だけどいざ本格的につくるとなると、調味料や材料をいろいろ揃えなきゃ、と及び腰になりがち。
その、ちょうど間が「町中華」です。
東京・清澄白河にお店を構える中華料理店「Shin」。
店主の菊池 晋作さんは、数々のテレビ番組出演、また服部学園の中華専任でされていた、講師でもあります。
そんな菊池さんと私たち編集部が「だしでおいしく、かんたんにつくれる中華料理ってなんだろう」と、あれこれいっしょに考えました。
家庭に常備している、またスーパーでも買える材料だけの3品。つくり方とヒント、レシピをあなたにご披露しますよ。
まずは点心から。と言えば餃子が定番だけど、ここはあえて焼売を。手づくりすると、なんとまぁ!ふわっとした食感、じゅわっとしたうまみ。これがもう、まったく違う。感激もののおいしさなのです。
ポイントは最初、肉餡に入れるタレにありました。干し貝柱を水でつけたものに、袋を破った椎茸だし、そして水を入れて(写真左)、ひと晩寝かせます(写真右)。
「干し貝柱からだしが出て、いい仕事をしてくれるんです。ただ見つからなければ、ホタテの水煮缶を汁ごと入れて、椎茸だしを加えてもOKです」
そして次の日、肉餡づくりからはじめましょう。豚ひき肉に生姜、玉ねぎ、片栗粉、合わせ調味料、そしてつくっておいたタレを入れて、よくこねます。
「できれば手でしっかりとこねることで、白っぽくなり、粘り気が出てきます。こうすると食感がなめらかになって、さらに肉の中に空気が入ってふんわりするんですね」
そして、包みます。この手さばきが華麗で、まるで手品のようでした。
まずはヘラ(ディナーナイフでもよし)を使って、焼売の皮に肉餡をなすりつけます。
ヘラを入れたまま、左手の人差し指と親指で輪っかをつくり、包みます。
皮の四隅を内側に折りたたんで、平らにならします。
最後に底の部分も平らにしたらできあがり。
「これは一般的な包み方で、バリエーションはいくらでもあります。中国料理は見た目を非常に重視するので、プロは形を揃えることを教育されるのですが、ご家庭では気にせず楽しくやってください」
そして、せいろで蒸せばできあがり!
ちなみに、肉餡が余ったら?
「その場合は、小皿に塗っちゃってそのまま蒸してください。別名“皿焼売”とも言われます」
「逆に皮が余ったら、切って油で揚げて。スナック菓子のようになりますよ」
実はこれ、のちほど活躍してくれるんです。
焼売
詳しいレシピはこちらを押す
焼売
[材料](約30個分)
豚ひき肉
400g
生姜(みじん切り)
7g
玉ねぎ(粗みじん)
120g
片栗粉
30g
B
塩
4g
砂糖
3g
胡椒
少々
オイスターソース
8g
ごま油
10g
酒
10g
醤油
9g
焼売の皮
30枚
[つくり方]
椎茸だし(6g×20袋入)
通常価格 2,268 円(税込)
商品を見るお次は煮物。と言っても日本料理のそれと違うのは、まず材料を焼き付けてから煮込むこと。
「日本料理は素材を生かす概念が強くあってあまりやりませんが、中国料理は煮崩れを防いだり、こうばしさを出すために、まずは焼き付けることが多いですね」
そうすることで、味の複雑さを出す効果があるそうです。
まずは下準備。お酒と醤油、ごま油を材料にからませます。
「下味を付けるというより、表面のくさみを取るのと、焼き付けて色を付ける意味のほうが大きいですね。なので揉み込まず、さっくりと混ぜるだけでよいでしょう」
ちなみにレシピでは紹興酒となっていますが、なければ料理酒でも問題ないですよ、とのこと。
しっかりとフライパンに接着させるように材料を並べたら、あとは触らずしばらくほうっておくこと。
「強火で焼き付け、醤油が焦げたこうばしい焼き色がついたら、お水と調味料を次々加えます。醤油、オイスターソース、お砂糖、塩胡椒、にんにくと生姜、鶏だしもここで。」
そしてぐつぐつと煮込むこと20分ほど。煮詰まって、さらに色が濃くなったようです。
「具材を炒める狙いは、この色付けのためでもあるんですよね」
焦げ色と醤油で、中華でおなじみの、おいしい褐色になっていきます。
そしておなじみと言えば、とろみ。
「そうですね。具材としっかりまとわせて、おだしごと食べる。日本の町中華にとっては大事ですね」
なので、少し多めの水溶き片栗粉を用意。「ようすを見ながら、何回かにわけて入れると失敗しにくいでしょう。」
手羽の煮込み
詳しいレシピはこちらを押す
手羽の煮込み
[材料](4人分)
鶏手羽先
12本
筍水煮
1個(140g目安)
長芋
10cm
しめじ
1/2パック
エリンギ
1/2パック
にんにく
1かけ
生姜
1かけ
A(下味)
醤油
小さじ2
紹興酒または酒
小さじ2
ごま油
大さじ1
サラダ油
大さじ1
水溶き片栗粉
適量
[つくり方]
鶏だし(8g×18袋入)
通常価格 2,268 円(税込)
商品を見る実は、最初に決まったのが中華粥でした。
だしのよさをあますところなく生かしつつ、日本のおかゆとちょっと違うのがトッピングです。
白髪ネギに針生姜、三つ葉、カリカリベーコン。そして揚げた皮もここで。一気に本格的な中華粥の装いです。
またぜひ試していただきたいトッピングは、白身魚のお刺身。
おかゆに乗せると火が入って半生になり、豪華でおいしい、しっかりとした締めの一品となります。
ではさっそくつくりましょう。ポイントはこちらも最初。洗ってザルにあげたお米に、ごま油をたらします。
「これをやっておくことで風味も出ますし、コーティングさせることで煮てもお米の粒が残りやすい。炒め油にも香り付けにも使いますし、とにかくごま油と中華は非常に相性がいいですね」
スプーンで軽く混ぜて鍋へ。そこに水と茅乃舎だしの袋を破って入れます。
今回は、すべてだしパックを破って使うレシピとなっていますね。どうしてでしょうか?と聞いたところ、「だって、おいしいじゃないですか」とにっこり。
和食のようにクリアさを求めるのではなく、いろんな味を足してくのが中華風。なのでだし素材のつぶつぶや雑味もふくめ、むしろプラスのほうに働くようです。
そして20分ほど弱火で煮ればできあがり。
中華粥
詳しいレシピはこちらを押す
中華粥
[材料](2人分)
米
0.5合
茅乃舎だし(袋を破って)
1袋
水
500ml
ごま油
小さじ1
トッピング
白身魚の刺身
適量
三つ葉
適量
カリカリベーコン
適量
白髪ねぎ
適量
ワンタンもしくは焼売の皮(揚げる)
適量
針生姜
適量
[つくり方]
茅乃舎だし(だしパック30袋入)
通常価格 2,268 円(税込)
商品を見る私たちが勝手に思い込んでいた「手づくりで中華は難しい」を華麗に翻し、レシピをかんたんな「町中華」仕様にしてくれた菊池さん。ただお店では、スープからラー油から、すべて手づくり。食べ心地よく、食べ疲れしないおいしさです。
「ずっと料理学校にいて、料理人としての育ちがないので、既製品を使う環境じゃなかったんですね。だけどこんな素晴らしいものがあれば、学校の授業も変えるべきですね。おだしはこれを使いましょう、なんて(笑)」
やさしくチャーミングなお人柄に、たちまちファンになってしまった私たちでした。
東京都江東区高橋14-20 高柳ビル1F ☎︎03-6240-2630
11:30〜13:30、17:30〜21:00 火定休
※その他不定休あり
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今回「深川 中華 Shin」さんに訪問したのですが、スープやソースの深みに思わず「おいしい!」と声が出そうになったほど。菊池さんの笑顔も優しさもとても素敵です。
編集部