「気持ちよく料理をするって、何だろう」
いつものように、あれこれみんなで話し合っていたときのこと。「肉は、揉んで下味をつけるのが大事」という流れから、広沢さんがピンと来たようにいいました。
「ならば、いっそテーマを『揉む』にするのは? お肉の下味もそうだし、お漬物やマリネをするときにも『揉む』工程はあるけれど、その加減って、なかなかレシピに書けないことだから」
たしかに、ふだんあまり意識することはないけれど、揉み方ひとつとっても、その目的によって、おいしさや仕上がりが変わるのだと言います。
あらためて、学んでみたいと思いました。
まずは、骨付きお肉。今回は鶏肉のみぞれ煮をつくります。
味がやさしい分「揉んでしっかり下味をつけておくと、中まで染み込んでおいしくなります」
とは言え、力まかせに揉めばいい、というわけでもないようですよ。
「まずはバットに並べ、骨のきわに包丁を当てて、切り込みを入れます」そうして“味の通り道”をつくってから、袋を破った茅乃舎だしと、酒をまぶして。
「ここでは指の腹を使って、全体的にやさしく揉んであげて。そう、マッサージするみたいなイメージで」
一番やってはいけないのは、強くしすぎて肉の繊維をつぶしてしまうこと。「これも、人にマッサージするときと同じかもしれませんね」
また手を汚したくないなら、まな板で切り込みを入れてから、ポリ袋を使って揉んでもよいでしょう。その後、しばらく漬け置きしておくのにも便利です。
鶏肉のみぞれ煮
詳しいレシピはこちらを押す
鶏肉のみぞれ煮
[材料](2人分)
[つくり方]
そしてスライス肉の場合。
力を入れず、つまんでパラッと「揉む」、というより「和える」感覚。「箸でやってもいいのですが、私は手を使うほうが、気持ちよくなじむ感じがします」
豚肉とキャベツの味噌炒め
詳しいレシピはこちらを押す
豚肉とキャベツの味噌炒め
[材料](2人分)
豚バラ肉(焼肉用など少し厚めのスライス肉)
120g
A
塩
小さじ1/4
胡椒
少々
酒
大さじ1
おろしにんにく
小さじ1/2
キャベツ
1/8個(180g)
長ねぎ
1本
B
味噌
小さじ2
豆板醤
小さじ1/2
酒
小さじ1
砂糖
小さじ2
醤油
小さじ1
ごま油
大さじ1
[つくり方]
次は野菜のサラダ。これも加減によって、仕上がり変わります。
「サラダにはドレッシングを“かける”と思っている人も多いかもしれないけど、私は“和えたい”派。野菜に味をまとわせ、染み込ませたいから。ただシャキシャキ感は残したいので、あくまでもさっと、がコツ」
では、白菜のサラダをつくりながらお伝えしましょう。
まずボウルに柔らかい葉っぱの部分だけを90gほどよりわけて、塩少々をパラッと。
そして、和えます。「つままず、揉まず、ボウルのふちから両手を入れてパサッ、パサッと5〜6回くらいでOK」
あまり長くやりすぎると、水っぽくなって漬物になります(笑)」
さらに柚子の絞り汁を小さじ2を加え、さっと合わせて器に盛ります。
パルメザンチーズ15gほどを全体に削り、黒胡椒を少々。
家計にやさしい庶民派の白菜が、何とも洒落たおいしさに変身です。
同じ野菜サラダでも、コールスローをつくる場合。
キャベツ(今回は紫キャベツですが、普通のキャベツでもOK)150gに対し、1.5gの塩を使います。「塩の分量は、1%を目安にと覚えておいて」そして、5分ほど置いておきます。
ちなみにこの「塩揉み」の工程は、ポリ袋を使ってもよいとか。
「何の道具を使うかにこだわるよりも、どうしたいのかを考えて。この場合はギュッ、ギュッと強く揉みたいので、もちろんありだと思いますよ」
5分ほど置いている間、マリネ液をつくります。
まずはレモン汁。「量は小さじ2を目安に。ちょっと強めのほうが、私はさっぱりして好きです」
ちなみに「フォークを刺して、ねじるようにすると、うまく絞れますよ」と教えてくれました。こういう、小さなコツがうれしいですよね。
さらに、昆布だしを入れるのもおもしろいポイント。
「ちょっと食感がねっとりするのがいいなと思って、今回はそうしました」
さらにオリーブ油大さじ1を加え、混ぜ合わせておきます。
ここでキャベツを取り出し、しっかり水気を絞ります。
そして、マリネ液を混ぜ合わせたら完成です。
きれい、さっぱり、やさしい。これぞ、広沢さんの味でした。
揉むことも、和えることも。たいせつなのは「人の手」であることに、気付かされた今回。
「今は手を使わないでできる方法や道具もあるけれど、私はやっぱり、人の手で料理をつくるって大事な気がするんですよね。ちょっとした力の加減や、なじんでいるかどうかを感じることが、食べたときの“おいしい”につながるんじゃないかって」
あなたは、どう思いますか?
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編集部