「答えは、一個じゃないものばかりなんです」
料理家として、レシピ開発をしたり、撮影やイベント料理をつくったり、だけでなく。福岡・薬院にあるアトリエ「kichi」では、料理教室を開催。さまざまな人たちに料理を教えている広沢京子さん。
「よく『これで合ってますか?』と聞かれることがあるのですが、合ってる合ってないは、基本ないんですね。すべてはケース・バイ・ケースで、こっちでもいいし、あっちでもいいし」
ただ、ひとつ考えて欲しいのは『なぜこうするのか』に思いを凝らすこと。
「理由はわからないけど、レシピにそうあるからじゃなく。まずなんでかを知った上で、自分にとって、どっちのほうが気持ちいいかな?で、選べるといいですよね」
本連載企画、題して「広沢京子さんに学ぶ、気持ちよい調理のひみつ」。初回に続き、2回目のテーマは、夏の今知りたい!冷たい料理をおいしく、気持ちよくつくるくふうあれこれ。広沢さん特製のさっぱり冷麺をつくる工程を例にとりながら、教えていただきます。
いつものように、本コラムと、インスタライブの両方でお届けしますよ。
まずは生野菜。みずみずしくてシャキシャキッとしたものを夏にいただくと、なおのこと美味しく感じますよね。
その際「水でしばらくさらしておく」とはよく言われていますが、ここにポイントが。「冬はふつうに水道水でいいと思うんですけど、夏はぬるいことも多いので、できれば氷水につけておくと気持ちいい、よりシャキッとした食感になります」
ただし長い間さらしていると、栄養分が流れ出てしまう恐れもあるとか。「なので見ながら、触りながら、頃合いを見てざるにあげてください。そうだなぁ、だいたい数分くらいかな?」
家庭でつくる冷たい麺でなりがちなのは「味がぼやけてしまう」こと。原因は「水気」にあるようです。
「そういう場合、たいてい水切りが甘いんだと思います。素材の水気、麺を茹でたあとの水気、それらがちゃんと切れていないと、たれをかけてもうすく水っぽくなって、うまみや味をちゃんと感じないことが多いんです」
なので大切なのは水にさらしたあと、しっかり水気を切ること。
「サラダスピナーでもいいし、ない方はざるにあげたあと、こんなふうにペーパーでふいてあげてください」
また、麺ものもしかり。
ゆがいて氷水でつけたあと、ざるにあげてチャッチャッと水気を切るだけじゃなくて「押さえながらしぼる」までを、ひとつの流れに。
あなたが今想像しているより、もっと力強く、ぎゅっとね、と広沢さん。
「こうした小さな作業を怠らないだけで、ずいぶんと味は変わります。めんどくさい、と言う人もいますけど、実はやってみると、そんなに時間も手間もかからない。この工程を省くためにどうするか?なんて考えるうちに、水気は切れますから(笑)」
はい、先生。以後、わきまえます!
「うだるような暑さだと食欲もあまり湧かないし、つくるのもおっくうになりません?そんな時、私は梅干しとか、梅酢とか、レモンとかを常備しておいて、積極的に取り入れているようにしてます。酸味の刺激で食欲も湧きますし、クエン酸は、夏に足りなくなりがちな鉄分も補ってくれるみたいです」
ピンポーン!梅干しを包丁でたたく際の「気持ちのいいくふう」が、オーブンシートを敷くこと。まな板に梅肉がつかず、後の作業も断然ラク。ペティナイフでトントントン、と軽快にたたくと、スマートでスムーズです。
大葉に香菜にネギ……無類の薬味好きの広沢さんはたっぷり、何種類も使います。「あの独特の香りと味わいは、気持ちがシャキッとします。ベランダでもいいので、好きなものを自分で育てると、使う時に好きなだけとれるし、経済的でもありますよね」と教えてくれました。
グラスやガラスの器など。あらかじめ冷蔵庫に入れて冷やしておくことで、料理を盛って食卓に並べた際、冷たさをキープすることができます。
そして何よりもこの霜が入ったルックスよ!
見るからに涼しそうで、食べる人への「おもてなし感」が湧きますよね。
そんな5つのポイントを押さえながら、チャレンジして欲しいのはこちら。
[材料](2人分)
素麺
2束
2袋
水
500ml
大さじ1・1/2
酢
小さじ2
梅干し
1個
豚バラ薄切り肉(しゃぶしゃぶ用)
30g
水菜
1株(40g)
トマト
1/2個
紫玉ねぎ
1/4個
青しそ
2枚
青ねぎ
2本
オクラ
2本
香菜
2株
おろし生姜
小さじ2
煎り白ごま
大さじ1
ごま油
少々
[つくり方]
お客さまからのご質問が多いのが、冷たいだし汁のこと。
「めんつゆを使ってももちろんいいけど、だしをとって氷水に当てて冷やすと、風味も、味わいもけっこう違いますね」
「だから夏は何かと氷を使うので、製氷皿を多めに用意して、氷をたっぷりストックしておくといいですよ。と言いつつ、使うスピードの方が早くなったり、冷凍庫のスペースの問題もあるしね……。製氷機は夏の一番ほしい物となりますね〜」
と、氷の心配までしてくれる、“気持ちのいいお世話焼き”の広沢さんなのでした。
インスタライブでは今回ご紹介した“豚しゃぶとシャキシャキ野菜のさっぱり麺”のレシピを通して、冷たい料理をおいしく、気持ちよくつくるくふうを教えていただきます。
みなさんも広沢さんへ質問したいこと、ぜひ教えてください。
開催日時
2023年7月27日(木)18:30~
茅乃舎公式インスタグラム(@kayanoya.official)にて
※いつもの開催曜日と時間が異なります。お時間のご都合が合えばぜひご視聴ください。
アーカイブでもライブ後配信予定です。
茅乃舎だしのご購入はこちら
https://www.kubara.jp/kayanoya/dashi/
煎り酒のご購入はこちら
https://www.kubara.jp/kayanoya/seasoning/irizake/
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夏はやっぱり冷たい麺!くふうの為所を押さえて、食べるまでも食べるときも気持ちよくまいりましょう。
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