子どもにつくるお弁当、どうしてますか?

ただでさえ忙しい朝。その上、子どものお弁当づくりもしなくちゃ、というあなたへ。まずは、本当にお疲れさまです!なのに……

「昨日のおかずをお弁当にも入れたら、子どもにえーっと嫌がられました」

「冷食のハンバーグに唐揚げなど、自分でもまたか、と思いながら、同じメニューばかり」

「自分用だと彩りなんて気にならないけれど、息子に『お弁当、いつも茶色いね』と言われて、ドキッ」

「彩り担当はプチトマト、卵焼き、ブロッコリーの無限ルーティン」

そんなお声を聞いて、どうにかお役に立ちたくて、お届けする「もっと楽しい子どもごはん」のお弁当企画。今回はとくに保存のことなど、何かと気になる夏のお弁当づくりに役立つヒントも、最後にありますよ。

教えていただくのは
chiobenの山本千織さん

レシピだけでなく、いろんなシーンやメニューに応用できそうなお弁当づくりのアイデアを授けていただくのは、「予約の取れない幻のお弁当」との異名を持つ、chiobenの山本千織さん。

「お弁当のためのメニューを考えなきゃ、朝から全部つくらなきゃと思うと、そりゃたいへんですよ。なので、昨日のおかずを活用するとか、私たちが『仕込み』と呼ぶ、前もっての作業なども駆使しながらつくっていきましょう」

その1. 前日のおかずをリメイクする

昨晩の余ったおかずや食材を活用し、お弁当には別のメニューに二次加工するアイデア。中でも「ちょっとずついろんな食材が残ってる」という“あるあるネタ”を一発解決してくれる、五目炒り豆腐を教えていただきました。

「人参、いんげん、椎茸、ピーマンなど、とにかくなんでもいいんです。すべてを前の晩に、超みじん切りにします。ただ生姜とねぎなどの香味野菜は必須。味にメリハリが効いておいしくなりますよ」

鍋で生姜を炒め、その後に刻んだ野菜、適当に崩した厚揚げを投入。「分量は、厚揚げ:野菜=3:2のバランスをイメージして」

中弱火で酒、だし、砂糖、醤油の順に煮込み、水分がなくなったらねぎを入れ、溶き卵を回しかけたらすぐ火を止めて。少しごま油を入れると、五目炒り豆腐のできあがり。

「このまま常備菜になるので、多めの量でつくってストック。丼や三色そぼろ弁当、おにぎりの具材、夕飯の箸休めにもいいのですが、卵焼きの具材に使うことで時短になります。その場合、少し濃いめの味付けにしておくのがポイント」

サッとできて、ホッとする味
五目炒り豆腐の卵焼き

五目炒り豆腐のつくり方
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五目炒り豆腐のつくり方

[材料](つくりやすい分量)

厚揚げ

260g(小さめ2個か大きめ1個程)

生姜

2片分

長ねぎ

1/3本分

A(どんな野菜でも可)

人参

70g(1/2本程)

さやいんげん

50g(5本分程)

椎茸

30g(2個程)

ピーマン

30g(1/3個程)

砂糖

大さじ2〜3

醤油

大さじ2

50ml

茅乃舎だし

300ml(※少し残す)

3個

米油(なければサラダ油)

大さじ3

[つくり方]

  1. だしをとる。鍋に水400mlと茅乃舎だしを入れて火にかけ、沸騰後中火で2~3分煮出し、だしパックを取り出す。野菜は全てみじん切りにする。
  2. 厚手の鍋に油を中火で熱したら生姜を入れ、香りが出てきたらAの野菜を加え、炒める。
  3. 全体に油が馴染んだら、手で崩した厚揚げを入れ、さらに木べらで崩すように野菜と混ぜながら炒める。
  4. ③に砂糖を加える。食材から水分が出てくるのでさらに中火で炒める。(焦げる場合は火を弱める)
  5. 酒を入れ、中火でアルコールを飛ばすように混ぜ合わせたら、一気にだしを入れる。
  6. だしをふくませるようにフツフツとさせながら全体に火を入れ、少し水分が少なくなってきたタイミングで醤油を入れる。味を見ながら砂糖と醤油で調整し、水分がなくなってきたらねぎを入れ(ここでだしや調味料が完全に素材に含まれているように)溶いた卵を混ぜ入れ、すぐ火を止める。

五目炒り卵焼きのつくり方

[材料](つくりやすい分量)

3個

五目炒り豆腐

大さじ3

醤油

適量

砂糖

適量

サラダ油

適量

[つくり方](つくりやすい分量)

  1. ボウルに卵を割り入れて溶きほぐし、五目炒り豆腐、醤油と砂糖を加えて混ぜる。
  2. 卵焼き用のフライパンを中火で熱してサラダ油をひき、キッチンペーパーで余分な油を拭き取る
  3. 1/4量の卵液を流し入れて中火で焼き、半熟状になったら奥から手前に巻き、奥に移動させる。同様に3回くり返し、火が通ったら火から下ろす。
  4. 巻き簾(なければキッチンペーパー)に③をのせて包み、形を整える。

ハンバーグの残りを春巻きに。

さらに、みんな大好き!ハンバーグを使ったアイデアです。

ハンバーグは前日の残り、タネではなく焼いたものを使うこと。崩れていたり食べかけでも大丈夫。それを手で崩し、とろけるチーズを細かくしたものを混ぜ、団子状にしておきます。

「もし春巻きの具材として味が薄いようなら、この時点でソースやケチャップを足してもいいですね。少し大きい子ならカレー粉や青しそなどを入れて味変させると、“残りもの感”が一層なくなります」

さらにきゅうりをカットし、春巻を一度巻きまでします。


「ここまでやっておけば、あとはもう一度巻いて揚げるだけなので、かなりラク。また朝からたっぷりの油で揚げるのがヘビーなら、少ない油量で大丈夫です。春巻は油も劣化しにくいので、そこはとらわれずに」

挽肉とチーズ、きゅうりの春巻のつくり方
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挽肉とチーズ、きゅうりの春巻のつくり方

[材料](3本分)

前日の残りのハンバーグ

90〜100g(1本30gをめどに)

きゅうり

1/2本程

ピザ用チーズ

大さじ1

春巻きの皮

6枚

揚げ用油

適量

[つくり方]

  1. ハンバーグを軽く崩し、ピザ用チーズを加えて3等分にまとめる。きゅうりはマッチ棒大に切る。
  2. 春巻きの皮は角を手前に置き、その中央に①をおく。
  3. 下の角から折り、左右に折って2回転くらいで包み終わるくらいの棒状にして角に水をつけて留める。
  4. ③の巻き終わりが上に来るように(中の具材が薄く見えている方を上にして)中央から少し下あたりに置く。
  5. 同様に巻き、水で留め、180℃の油で揚げる。


「本数が少ないので、すべての工程を当日の朝にやってもいいですし、前日に③まで、朝に④からやると、もっとラクになります。もし中身の水分で皮が破れてしまっていても、2度巻きするのでまったく問題なく揚がります」

その2. だし粉をフル活用する。

お次は、袋を破っただしを活用する方法。

「前日の夕飯の仕込みと一緒に漬け込むと、次の日揚げるだけ。ひと晩おくことで、より香りとうまみが染みておいしいです」

たとえば、鶏ささみ。筋を取り、1本をだいたい2、3等分に切ったものを漬け込んでおきます。

「だし漬け床は、オリーブ油に塩麹、酢、にんにく、生姜などを入れて。ここで下味をしっかり漬けることで、タレ仕上げにしないのもポイントです」

たれ仕上げにすると、茶色くなり過ぎたり、ごはんにしみたりしますものね。

また漬け込みは余裕がなければ、1時間くらいでも大丈夫。

「その際、味は中まで入らず外側についているのでパンチがないようであれば揚がった後に塩を振ってもいいかもしれません」

そして当日の朝は、ふきとって片栗粉をつけて、少し低めの油(160〜170℃くらい)で揚げるとできあがり。

食感しっとり、味はしっかり
ささみの柔らか揚げ

ささみの柔らか揚げのつくり方
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ささみの柔らか揚げのつくり方

[材料]

ささみ

3本(180g)

A

煮干しだし(袋を破って)

1袋

塩麹

小さじ2

オリーブ油

大さじ1

白ワインビネガーまたは酢

小さじ1

おろしにんにく

1片分

片栗粉

適量

揚げ用油

適量

[つくり方]

  1. ささみは筋を取り、2、3等分に切る。
  2. ①をボウルに入れ、Aをすべて入れ揉み込み、冷蔵庫に入れ一晩置く。
  3. ②を軽くふきとり片栗粉をまんべんなく付け、170℃くらいの油で揚げ中まで火を通す。

さらに、折々の会でも人気!茅乃舎だしとお好みのオイルを合わせるだけ、という手軽さでつくれる「だしオイル」。

ここでは、「加工品を使うとラクですよ」ということで、ゆでたオクラとかまぼこをチョイス。

「前日か、前々日にだしオイルで漬けて袋で密封しておくと中まで味が染みるので、朝は水気をふいて詰めるだけ。こうしたおかずが1品あると、忙しいときにはかなり助かります」

忙しいときのお助け
オクラとかまぼこのだしオイル

オクラとかまぼこのだしオイルのつくり方
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オクラとかまぼこのだしオイルのつくり方

[材料]

オクラ

8本

かまぼこ

1/3本

小さじ1/2

A

200ml

醤油

小さじ2

米油(なければごま油やオリーブ油でも可)

小さじ1

[つくり方]

  1. オクラはガクを削り取り、角張ったところを薄く削ぎ、塩をふり、板ずりする。
  2. 鍋でお湯を沸騰させ、①を約30秒茹で水にさらした後、水気を拭き取り保存容器に移す。
  3. かまぼこは1cm厚のいちょう切りにし、②の保存容器に入れる。
  4. Aを沸かし②に注ぎ、米油を入れ、ペーパータオルなどを被せ、あら熱が冷めたら冷蔵庫に一晩保存し、水気を拭き取ってオクラだけ半分にカットする。

その3. おにぎりの具を手づくりする

どうしても、お弁当はおかずの品数を多くしなきゃ!と思いがちですが「おにぎりの具を手づくりにすれば、おかずが少なくても素っ気なさはなく、彩りにもつながります」

さらに常備菜にもなるので、たくさんつくっておくとよいでしょう。


たとえば、わかめのナムル。「ごはんのおともとしても優秀で、つくっておくといろいろ使えます。もちろん、おにぎりの具にもぴったり」

さらに、ゆで枝豆はどうでしょう?

「ここでも袋を破っただしをまぶして、食感も味もしっかりさせるといいですね」

食べごたえも栄養も豊かなおにぎり2種

わかめのナムルおにぎりと枝豆おにぎりのつくり方
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わかめのナムルおにぎりと枝豆おにぎりのつくり方

[材料]

わかめ(塩蔵、またはもどす必要のないもの)

1パック

えのき

1パック

米油

大さじ2

小さじ1

おろしニンニク

1片分

ごま油

小さじ1

ごはん

適量

[つくり方]

  1. わかめはさっと洗い、約1cmに切る。えのきは石づきを切り落とし、同様に約1cmに切る。
  2. 厚手の鍋に米油を熱して①を入れ、水分を飛ばすように木べらで炒めていく。
  3. 塩で味を調え、おろしにんにくを入れ、焦げないようにねっとりさせるイメージで炒める。全体が絡んで一体感が出たらごま油を入れ、火を止める。
  4. ご飯にナムルを混ぜ込み、おにぎりにする。

ここでchiobenさんが熱弁するのは、必ず厚手の鍋を使い、常備菜としてなるべく多い量でつくること。「量が少ないと炒め物になる。決して炒め物にはしないこと。カレーのベースにする玉ねぎを炒めるイメージで」

ゆで枝豆のおにぎりのつくり方

[材料]

枝豆

剥いてないない状態で300g (可食部150g)

昆布だし(袋を破って)

1袋

ごはん

適量

小さじ1

[つくり方]

  1. 枝豆をさやごと洗い塩をまぶし、そのまま沸かしたお湯で4、5分ほど茹でる。
  2. 枝豆を取り出しさやと薄皮をとり、ボールに入れる。
  3. 袋を破った昆布だしを②の枝豆が熱いうちにふりかける。
  4. ごはんに③を混ぜ込み、手塩をしながらおにぎりにする。

最後に、山本さんに夏のお弁当をつくるときの、ちょっとしたポイントを教えていただきました。

 彩りよりも、白いものを。


「春巻きにすると、断面がきれいで素材の色がより映えます。あと無理に彩りをつけようとしなくても、白いおかずを入れると弁当が明るくなります。かまぼこやゆでたまご、蕪、青梗菜の下の方を見せるなどしてもいいかもしれません」

傷みにくくするなら、火入れと水気。

「まずは、しっかり火入れすることですね、ほんとに、そこにつきます」という山本さん。「あとは水気をよく切って、味付けも濃いめにしておくと安心かもしれません」

「厚揚げは豆腐より出来上がりに水分が出ず、お弁当に向いてます」

「食育って嫌いなものを子どもにいかに食べてもらうか、となりがちだけど、それで戦いになってしまっても、いい関係にはならない」と山本さん。

「なので、やっぱり子どもが好きなものを入れてあげて、お弁当を好きになってくれるといいなと思います」という言葉に、深く納得したのでした。

プロフィール

山本 千織 chioben(チオベン)料理人
2011年より代々木上原にある知り合いのバーを間借りして、手作り弁当『chioben』をスタート。彩り豊かで美味しいお弁当が、雑誌やテレビの撮影現場から口コミで広がり、現在は、パーティー会場などへのケータリングも行っている。著書『チオベン 見たことのない味 チオベンのお弁当』(マガジンハウス)。

茅乃舎だしのご購入はこちら
https://www.kubara.jp/kayanoya/dashi/

煮干しだしのご購入はこちら
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