もっと楽しい子どもごはん。大人と子どもで、同じ料理をつくり分けましょうよ。

2023.3.22

季節のレシピ

どうしようもなく思い通りにならない焦りも、笑顔がもたらす救われるようなうれしさも。たくさんのことを感じ取りながら、日々学び生きる子育て。「はい!ただいま真っ最中です」と、手を挙げてくださったあなたへ贈る、連載企画がはじまりますよ。

題して「もっと楽しい子どもごはん」。

はじまりは、編集部スタッフがつぶやいた、こんなお悩みでした。

「つくったものを、子どもがなんでも食べてくれるわけではない。とくに野菜はなかなか食べてくれない。寝る時間は決まっているから、時間をかけて料理をつくれないし、同じものしか食べないから、いつもと違う料理にチャレンジすることもない。つくることも、つくる料理も、食べることも、全部がルーティン化してしまっているんです」

そうそう!と読みながらうなずいたあなたへ。そこから抜け出す、ひとつのきっかけとして。同じ料理を、レシピと食材を少し変え、大人向けと子ども向けにつくり分けてみるのはいかがでしょう?

どちらかの味覚に無理に合わせることなく、手間は省け、新たな発見もある、そんなくふう。

このお題に一生懸命寄り添って、向きあってくれたのは料理家meme mealの安居さん。

「私は小さいころ、おばあちゃんの料理が大好きで。今私がつくっているのも、当時の味の記憶がベースとなっているんです」どこか懐かしいけれど、ちゃんと今の時代らしい。そんな安居さんに、ふたつの料理アイデアをいただきましたよ。

旬の野菜をくたくたに煮て
大人向け→ミネストローネに
子ども向け→カレーライスに


「子どもがなかなか野菜を食べてくれない」その理由のひとつは「見た目」だと言われています。安居さんいわく「子どもの視覚は敏感だから、ちょっとでも変わったもの、見たことないものだと『食べない、きらい』と判断し、手をつけないこともあるようですね」

そこで、まずは旬の野菜を細かく切ることからはじめましょう。

「人参、じゃが芋、ごぼう、玉ねぎ、しめじ、ブロッコリー、キャベツなどなど、なんでもOK。トマトの印象が強いミネストローネですが、今回はトマトはなし。トマト好きな子には、もちろん入れても」

これらをくったりと炒め煮し、ベースのミネストローネをつくります。

水を加え、ふつふつしたら野菜だしを破り入れて溶かして。

「直前に別の器に入れておいておくと、湿度で固まることもありませんね」

ベースのミネストローネのつくり方
詳しいレシピはこちらを押す
ベースのミネストローネのつくり方
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[材料](大人と子ども各2人分、スープ用2人分の目安量)

人参

1/2本 100g

じゃが芋

2~3個 200g

玉ねぎ

1/2個 100g

しめじ(椎茸などでも)

1/2房 100g

ブロッコリー

1/2房 100g

キャベツ

1/8個 100g

ごぼう

1/2本 50g

オリーブ油

適宜

小1

野菜だし(袋を破って)

1袋

50ml

※gはそのおおよその重量です。

[作り方]

  1. 人参、じゃが芋、玉ねぎ、ブロッコリーを1cm角に切り、しめじは石づきを取る。じゃが芋は水にさらす。ごぼうは包丁の背でそぐように薄く皮を剥き(皮の近くに栄養や香りがあるので、真っ白にしなくてよい)2~3mmの輪切りにし、約5分水にさらす(長すぎると香りがなくなる)。キャベツは2~3cm角のざく切りにする。
  2. 水にさらした野菜はザルにあげて水気を切る。鍋にオリーブ油を入れ、ごぼう、人参、玉ねぎ、ブロッコリーの茎の部分を先に加えて約2分炒め、全体的に油が回ったら、しめじ、ブロッコリー、じゃが芋、キャベツを加え、塩と袋を破った野菜だしを入れる。全体的にさっと混ぜ合わせる。
  3. 浸透圧で水分が出てきたところに、水を加えて蓋をし、沸騰したら弱~中火で約7~8分蒸し煮にする。じゃが芋が箸で崩れ、キャベツがくたくたになったらできあがり。

※焦げそうであれば水をさらに少し加える。

できあがったミネストローネを、大人向けに仕上げましょう。

「汁気は少なめで、“飲む”というよりも“食べる”スタイルです。シンプルで素材を味わう感じに仕上げます。
ミネストローネをお皿に盛り、良質なEXVオリーブ油をかけ、パルミジャーノレッジャーノを擦り下ろし、黒胡椒をかけることで、グッと大人っぽく。バゲットなどハード系のパンを添えていただいてもよいですし、ワインにも合いますよ」。

子ども向けにはミネストローネを小鍋に入れ、水を加えて火にかけます。「お肉がないと食べないというお子さまには、ここにウィンナーを小さく切って入れてあげるだけで、食べやすくなるかもしれません」

そしてお好みのカレールー(お好みで調整)を加え溶かし、とろみがつくまで火にかけて。

「フレーク状だと量を調節しやすくて便利です。あと中辛以上のルーを使った場合は牛乳を大さじ2杯ほど加えても」

そうして子ども向けの「お野菜カレーライス」が完成!

大人アレンジ
詳しいレシピはこちらを押す
大人アレンジ
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[材料]

ベースのミネストローネ

お玉2杯分(約300g)

EXVオリーブ油

適宜

パルミジャーノレッジャーノ

適宜

黒胡椒

適宜

バケット

お好みで

[作り方]

  1. お皿にベースのミネストローネを盛り、EXVオリーブ油を回しかけ、パルミジャーノレッジャーノをすりおろし、黒胡椒を振る。
  2. お好みでバケットを添える。

子どもアレンジ
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子どもアレンジ
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[材料](2人分)

ベースのミネストローネ

お玉1.5杯分(約250g)

カレールー

20~30g ※フレークタイプだと調整しやすいです。

200ml

牛乳

大2

ご飯

適宜

[作り方]

  1. 小鍋にベースのミネストローネを入れ、水を加えて火にかける。
  2. 沸騰したら一度火を止め、カレールーを加えて溶かす。
  3. カレールーが溶けたら、とろみがつくまで火にかける。中辛以上のルーを使った場合は牛乳を加えてさらに煮込んでできあがり。


さらにミネストローネが余ったら?
安居さんが、次の日の持ち越しアイデアも考えてくださいました。

ミネストローネスープパスタのつくり方
詳しいレシピはこちらを押す
ミネストローネスープパスタのつくり方
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[材料](2人分)

ベースのミネストローネ

おたま1.5杯(250g程)

スパゲッティ

5~6本

400ml

[つくり方]

  1. 小鍋にミネストローネを入れ、水と野菜だしを袋のまま入れて火にかける。
  2. 味見をして、塩気が足りなければ塩を加え、濃い場合は水を足す。
  3. スパゲッティを手で1/8程の長さに折って加え、柔らかくなるまで約8分煮たらできあがり。

「スプーンでそのまま食べられるので、お子さまでも食べやすいです。大人向けにはパスタを別で茹で、レンジか鍋であたためなおしたベースのミネストローネを、茹でたパスタと袋を破った野菜だしで和えるだけで、味をまとめてくれます。黒胡椒を加えると、味が引き締まりますよ」

お次のテーマは「噛む力」です。

歯ごたえを楽しむ中華風肉団子
大人向け→スパイス加えて本格派
子ども向け→鶏だしのやさしい味


「保育士さんから『食べやすくする一方で、噛む力が圧倒的に弱くなっているのも問題だ』と聞いて。柔らかいものばかり食べ慣れていると、噛みちぎれない、奥歯が使えないなどあるそうなんです。ということで、歯ごたえを楽しめるレシピを考案しました」

それが、こちら!丸いルックス、みんな大好き肉団子です。

「食べやすさの中に、根菜の歯ごたえを少し残し、コリコリ、カリカリ感を楽しんでもらえたらと思います。また子どもに嫌われがちな椎茸やれんこんや人参、生姜も入れて、一気にお野菜も食べてくれたら」

まずは、れんこん、人参、生姜、玉ねぎ、椎茸など、子ども達に食べてほしい野菜を細かく切ります。ボウルに豚ひき肉を入れて、塩をふり手で混ぜたところに入れ、片栗粉も加えてよく混ぜます。

「下味として、ここで鶏だしを小さじ2杯分入れ、残りは子ども向けに残しておきましょう」


ここまでが、親子共通の作り方。

大人向けには、ここでさらにスパイスを加えてよく混ぜます。「おすすめは五香粉。花椒や八角がバランスよく入っているミックススパイスなので、単品より比較的取り入れやすく、スーパーなどでも手に入りやすい。煮豚やチャーハンにも活用できますよ」

さりとて「どうしても五香粉がないわ」というご家庭には「カレー粉や、七味などでも」

火が通りやすいよう平たい肉団子に成型し、フライパンで焼きます。この工程も親子共通ですが「スパイスが混ざらないように、小さいフライパンで分けて焼いたほうがよいかもしれませんね」

焼き色がついたら裏返し、両面に焼き色がついたら、水を少々加えてフタをして。少し蒸して中まで火を入れましょう。

さらに水を加え、ふつふつしたら、カットした青梗菜(小松菜などでも)を加えます。

しんなりしてきたら破った鶏だしを入れ、全体的に味が回ったら、水溶き片栗粉を回し入れるとできあがりです。

ベースの中華風肉団子のつくり方
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ベースの中華風肉団子のつくり方
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[材料](大人子ども各2人分、それぞれ残ったら冷凍し、展開料理もできる目安量)

豚ひき肉

400g

れんこん

60g

人参

60g

玉ねぎ

60g

椎茸

4枚 60g

生姜

10g

小1

鶏だし(袋を破って)

小2 ※破って容器に入れると計りやすい

片栗粉

大2

[つくり方]

  1. 豚ひき肉をボウルに入れ、塩を加えて手でよく混ぜる。
  2. れんこん、人参、玉ねぎは粗みじん切りにし、れんこんは水にさらす。椎茸は石づきを切り落とし、生姜と椎茸はみじん切りにする。
  3. ①に②と袋を破った鶏だしを加えてよく混ぜ、片栗粉を加えてさらによく混ぜる。大人用と子ども用で半分ずつに分ける。

大人アレンジ
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大人アレンジ
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[材料]

ベースの肉団子あん

半量 320~350g

五香粉

小1/4 ※お好みで調整

油(サラダ油、こめ油、ごま油など)

大1

青梗菜

4~5枚

200ml

鶏だし(袋を破って)

1袋

片栗粉

大1/2

[つくり方]

  1. 青梗菜を4~5cm幅に切る。片栗粉に水を大1(分量外)加えて溶く。
  2. ボウルにベースの肉団子のあんを入れ、五香粉を加え、全体的に混ぜる。
  3. ②を6等分に分け、火が通りやすいように平たい肉団子に成型する。
  4. フライパンに油を入れて火にかけ、③を食べる分だけ焼く。(残ったら冷凍する)
  5. 焼き色がついたら裏返し、両面とも焼き色がついたら、水を大1(分量外)加え、蓋をして約1分蒸して中まで火を入れる。
  6. フライパンの蓋を開け水を加え、ふつふつしてきたら袋を破った鶏だしを入れる。
  7. 鶏だしが溶けたら、フライパンの隙間に青梗菜を加えて煮る。
  8. 青梗菜がしんなりしてきたら水溶き片栗粉を回し入れ、約1分火にかけて全体的にとろっとしたら火を止め、器に盛り付ける。

子どもアレンジ
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子どもアレンジ
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大人アレンジの五香粉を入れる工程のみがなくなり、あとは同様。

[材料]

ベースの肉団子あん

半量 320~350g

油(サラダ油、こめ油、ごま油など)

大1

青梗菜

3~4枚

2/3カップ

鶏だし

ベースの肉団子あんで使用した残り

片栗粉

大1/2

[つくり方]

  1. 青梗菜を4~5cm幅に切る。片栗粉に水を大1(分量外)加えて溶く。
  2. 肉団子のあんを子どもが食べやすい大きさに8等分に分け、火が通りやすいように平たい肉団子に成型する。
  3. フライパンに油を入れて火にかけ、②を食べる分だけ焼く。(残ったら冷凍する)
  4. 焼き色がついたら裏返し、両面とも焼き色がついたら、水を大1(分量外)加え、蓋をして約1分蒸して中まで火を入れる。
  5. フライパンの蓋を開けて分量の水を加え、ふつふつしてきたら鶏だしを入れる。
  6. 鶏だしが溶けたら、フライパンの隙間に青梗菜を加えて煮る。
  7. 青梗菜がしんなりしてきたら水溶き片栗粉を回し入れ、約1分火にかけて全体的にとろっとしたら火を止め、器に盛り付ける。

さらにうれしいのが、残った肉団子は成型して冷凍できるということ。

「次の日は、フォーはいかがでしょう。鶏だしを塩、砂糖、酢で調味したスープに冷凍した肉団子をそのままいれて煮込み、茹でた麺とレモンとパクチーをのせると、本格的な味わいになりますよ」

次から次へと、アイデアを惜しみなく教えてくださいました。


「なんでも、かんたん時短にしたいわけじゃないの」

そんなあなたの声に、私たちはよく耳を傾けています。

せめて大人も子どももつくること、食べることがストレスに感じることなく、つくる時間ごと楽しめること、その工夫。これからも、提案していきますからね。

野菜だしのご購入はこちら
https://www.kubara.jp/kayanoya/all_dashi/yasaidashi/

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