「冬はこってりした料理を食べがちですし、年末年始はとくにいろいろ食べすぎちゃうから。この時期は、ちょっと軽やかになりたい、そんな感じの気分になるかも」
料理家の広沢京子さんは、いつものようにゆっくり思いめぐらせながら、そう答えてくれました。
新しい年を迎え、日常に戻り、心身をととのえていく時期。こんな時こそやさしく、栄養のあるものを摂りたい。
「私はなんとなく、そんなときは豆を手に取ることが多いですね」と、広沢さん。
理由は「ひじきを炊きたいから」など目的買いのときもあれば、「何をつくるかまでは決めてないけど、日持ちもするし、なんとなく買っておく」というときもあるそう。
確かに豆は、植物性のたんぱく質がとれて、体にいい。わかっているけれど、いざ作るとなると、レパートリーがあまり思い浮かばない。「あと一晩水に浸しておかなきゃいけないなど、めんどうに感じる人も多いかもしれませんね」
そこで広沢さんにリクエストしたのが、「気分が上がる豆料理、教えて」
「体にいいから」だけでなく「これ食べたい!」と思えば、ちょっとめんどうでも、作りたくなる。そんな、ときめくレシピを教えていただきました。
まずは、手に入りやすい大豆を使ったつくねです。
右は乾燥した大豆。左は水に一晩浸してもどしたもの。「時間がないなら、水煮を使ってもOKです」
さて、ここからです。茹でるか、蒸すか。先生、その違いって何でしょう?
「基本は、どちらも変わりません。ただ、そのあとをどうしたいかによって、選ぶといいと思います」
たとえば、つくねの場合。「水やオイルなどを足さずにつぶすので、茹でるよりも蒸すほうが、余計な水分が飛んでいいかもしれないですね」
ということで、大豆をせいろに入れ、別の作業をしながら待つこと1時間。ほら、いい香りがしてきましたよ。
そのままフードプロセッサー、もしくはすり鉢を使ってつぶします。
「そのあと鶏ひき肉と混ぜた時に、少し食感が残るようにしたいので」完全にペースト状にはせず、そぼろ状にするのがポイント。
小判型にまとめて、フライパンで焼くとできあがりです。
[材料](2人分)
大豆(乾燥)
50g(蒸したもの120g)
玉ねぎ
1/4個
鶏ひき肉
150g
生姜
1片
れんこん
30g
1袋
A
醤油
大さじ2
みりん
大さじ1
砂糖
大さじ1
サラダ油
小さじ2
かいわれ大根
お好みで
[つくり方]
※手順②で大豆を茹でる場合
鍋に大豆がかぶるくらいの水を入れ、鍋の水が沸騰したら弱火にして途中灰汁をすくいながら60分ほど目安に茹で、食べて硬さを確認し、まだ硬かったらもう少し茹でる。茹で汁が少なくなったら、途中差し水をして表面から豆が出ないようにする。
さて、次のお楽しみ豆料理は、フムスです。高タンパクで低脂肪、ほくっとした食感が特徴のひよこ豆でつくるペースト。前菜としてパンとともに。また野菜のディップとしてもおいしい一品です。
「中東諸国の料理で、モロッコへ旅した時によく食べてました。日本でも、レストランなどで見かけたことのある人も、多いかもしれませんね」
今日はこれを、おうちでつくりますよ。
ひよこ豆はにんにくといっしょに茹でることで、風味を加えます。その後フードプロセッサーにひよこ豆、とっておいた茹で汁、レモンと塩、袋を破った和漢だしを加えて。
しっかりピューレ状になるまで潰し、途中レモン汁、オリーブオイル、塩を加え、さらに回します。
「オイルがだしをコーティングするので、最後に入れましょう」
仕上げに“追い”オリーブオイルで、完成!
[材料](4人分)
[つくり方]
最後は、白インゲン豆。カルシウムやミネラルがとくに豊富で、広沢さんも「茹でるとでんぷん質が溶けて少しトロッとなるのでドレッシングと馴染みやすく、サラダにするのがおすすめ」とのこと。
これも「茹でる」ほうで。「豆自体に味をつけたいので、塩を最初に入れますね」
茹であげたらザルにあげ、みじん切りした玉ねぎ、色みと辛みを出すためのラディッシュを
加えて。
塩とオリーブオイル、りんご酢、そして野菜だしでつくったドレッシングをまとわせると……ほら、色どりも洒落た豆サラダができあがりました。
[材料](3、4人分)
[つくり方]
今日は、それぞれの豆、それぞれのメニューに適した戻し方、火の入れ方があることを知りました。法則を知っておくと、いろいろと応用できそうです。
そして余った大豆は、砂糖とともに煎り、ぜひ節分の日に。
鬼は〜外、福は〜内!
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好きだけれど自分で作ることにはハードルを感じていた豆料理。今年はチャンレジしてみようと思います。みなさんもぜひ!
原