きらくに発酵教室③麹でつくる豆板醤

辛いもの好きの偏愛メニューベスト3といえば、カレーにチゲ、麻婆豆腐(で、異論ありませんか?)。

その麻婆豆腐の味をつくる大切な調味料が、豆板醤。そら豆に大豆やごま油、唐辛子の塩漬けなどを加えた、発酵調味料のひとつです。

松下美幸さん(以下美幸さん)

発酵の情報を求めて調べていくと、豆板醤、けっこう出てくるんですよね。


教えてくれたのは、たつの市で発酵料理教室を主催する「発酵LabCoo(ラボクー)」の松下さんご夫妻。

美幸さん

豆板醤って、どこか“買うもの”というイメージがありますが、手づくりしてみたら、まったくの別物!ほんとに驚きますよ。

いわく、市販品は辛みも塩気もしっかりと強いのが特徴。また、ゆでたそら豆をつぶして天日干しにするなど、つくる工程も複雑だそう。

松下裕昭さん(以下裕昭さん)

麹菌は、いわばカビです。中国ではそら豆にカビを生やして発酵させるのですが、ここでは日本の麹を加えて発酵を促します。なので本場とは少し違う、辛いお味噌に近い感覚でしょうか。

美幸さん

私が教室でやっているのは、つくり方もかんたんで、辛さも塩気も控えめにしています。なので使い道は、もっと広がると思います。麻婆豆腐に使うのは当たり前ですが、意外に和食にも合うんです。

ふだん使いしたくなる
やさしい豆板醤のつくり方。


「そら豆は、旬のものを選ぶと風味も違いますが、手に入らなければ冷凍、また枝豆や大豆でもOKです」。あとは塩、乾燥した米麹、唐辛子。唐辛子はできれば粗挽きと細挽きの両方を用意しましょう。辛みに奥行きが出ます。


まずは乾燥米麹を刻みます。こうすることでなめらかな質感になります。
刻んだ米麹と塩をなじませます。


そら豆の薄皮をむきます。筋の裏の部分をむいてから、指で押すとぴゅっと飛び出てきます。


そら豆をジッパー付き保存袋に入れ、指を使ってぎゅぎゅっと全体的につぶします。「手袋をして直接やってもいいですよ」


米麹、2種類の唐辛子を入れ、耳たぶくらいのかたさに水で調整しながら、さらに混ぜます。


空気が入ってカビが生えないよう、保存瓶にぎゅっと詰めて、詰めて。


最後にラップをして完成!1〜2ヶ月ほど常温で熟成させ、その後は1年ほど保存可能。少しずつ発酵が進むと色が変わり、味もよりまろやかに。これはこれでおいしいのです。

麹でつくる豆板醤


[材料]

そら豆(さやを剥き、薄皮付きの状態で)

150g

韓国唐辛子(細挽き)

10g

韓国唐辛子(粗挽き)

10g

20g

大さじ1〜2

[つくり方]

  1. 乾燥米麹は包丁で細かく刻み、塩と合わせなじませる。
  2. そら豆は柔らかくなるまで茹で、皮を剥く。袋に入れて手で潰す。
  3. ①と2種類の唐辛子を加え混ぜる。
  4. 水を少しずつ加えながら混ぜ、耳たぶくらいのかたさに調整する。
  5. 瓶に底から隙間なく詰め、表面が空気にふれないようにラップを密着させる。1~2ヶ月常温で熟成させる。

豆板醤の活用法あれこれ

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豆板醤、そこまで使い切れるかなと心配です。

美幸さん

味は単調かなと思いきや、市販品よりも奥深さがあるので、ディップソースにして食べてみてください。先日、教室で味見をしてもらった時も、豆板醤だけのものと、マヨネーズを混ぜたものの両方を用意したんですが、豆板醤だけのほうが人気がありました。


野菜はもちろん、クラッカー+チーズにのせても。「同じ発酵食品なので、相性はいいんです」

おいしい活用法その①肉じゃがの“味変”に

「この豆板醤は意外と和食に合う」と松下さん。それを実感したのが、家庭料理の定番、肉じゃがでした。

ピリ辛肉じゃが


[材料]

牛こま肉

400g

じゃが芋

6個

人参

1本

玉ねぎ

1個

白滝

1袋

サラダ油

適量

A

豆板醤

大さじ1

300ml

醤油

大さじ4

大さじ3

砂糖

大さじ3

みりん

大さじ3

[つくり方]

  1. 牛肉は食べやすい大きさに切る。じゃがいもは角切り、にんじんは乱切り、玉ねぎはくし切りにする。白滝は洗い、3等分程度に切り分ける。
  2. 鍋にサラダ油を入れ、牛肉、野菜の順に炒める。
  3. 一度火を止め、Aを加え中火にかける。
  4. アクを取り除いて白滝を加え、20分ほど煮る。
  5. 火を止め、5分ほど蒸らして出来上がり。

美幸さん

こちらは最初から豆板醤を入れるレシピですが、1日目は普通の肉じゃがをつくり、2日めの“味変”として楽しんでも!

おいしい活用法その②餃子のたれに

さらに、中華料理との相性はいわずもがな。ここでは水餃子の辛味たれをご紹介。ふだん使っている市販品とのてきめんの違いを、ここでも感じるはずです。

美幸さん

正直、私はもうこれを使ったら、市販品には戻れなくなりました。

海老の水餃子


[材料]
水餃子

海老

150g

豚ひき肉

100g

長ねぎ

1本

椎茸

2~3個

ニラ

1/3束

A

片栗粉

大さじ1

大さじ1

ごま油

大さじ1/2

やさしい和漢だし

1袋(袋を破って)

餃子の皮

約30枚

タレ

豆板醤

小さじ1

砂糖

小さじ1

醤油

大さじ1

小さじ2

[つくり方]

  1. 海老は背ワタを取り、酒と片栗粉(ともに分量外)で揉む。水で洗い、1cmの長さに切る。長ねぎ、椎茸、ニラはみじん切りにする。
  2. ボウルに①とAを入れ混ぜ合わせる。
  3. 餃子の皮で②を包み、たっぷりのお湯で1〜2分茹でる。
  4. タレの材料を全て混ぜ合わせて、茹で上がった餃子をつけていただく。


辛味だけでなく、じ〜んわりとしたうまみも感じられ、どこか馴染み深い味わいです。さっぱりとした水餃子にとても合いました。

おまけ:発酵LabCooの春だより


いよいよあたたかくなり、来たる夏に向けて。私たちが楽しみにしているのは、フルーツ甘酒をつくること。茅乃舎の「飲む麹」50gと水50ml、フルーツ100gを、ブレンダーで混ぜるだけ。食欲のなくなりがちな日の朝ごはんに、とても飲みやすく、甘酒だけでなくフルーツの栄養素もプラス。簡単にたっぷり栄養を摂ることが出来ます。
今日は、色がきれいなピンクグレープフルーツにしました。他にもバナナやいちごはもちろん、みかんやスイカはいまいち?だったり。いろんな季節のフルーツで試してみてください。


発酵LabCoo
味噌や糀、醤油など醸造文化が残る兵庫県たつの市。ここでは、各家庭で簡単に発酵食品が作れるようなワークショップや甘酒教室、オリジナル醤油作りなどのイベントも数多く開催しています。多くの人が日本の伝統食品の味や歴史に親しみ、各家庭で発酵食品を手作りし、地域の味を引き継いでいただきたいと願っています。

乾燥米麹のご購入はこちら
https://www.kubara.jp/amakoji/koji/komekoji/224400/

飲む麹のご購入はこちら
https://www.kubara.jp/amakoji/koji/amakoji/178700/

茅乃舎だしのご購入はこちら
https://www.kubara.jp/kayanoya/dashi/kayanoyadashi/570000/

やさしい和漢だしのご購入はこちら
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