ルーにたよらず、スパイスでカレーをつくりたくて。
異国感漂うあの味を、心おきなく、おうちでも食べたくて。
よし、今度こそ。
そう意気込むものの、レシピの材料欄を前になんど断念したことか。
スパイスカレーづくりの関門。それは「果たして次はいつ使うのだろう」という、馴染みのないスパイスを、いくつもいくつも揃えることにあるのではないでしょうか。
そこで今回は、たった3種類のスパイスと、和漢だしでつくるカレーをご紹介いたします。
教えていただいたのは、NHK「きょうの料理」などでおなじみ、料理家のワタナベマキさん。
かんたんで、気が利いていて、もちろんとってもおいしくて。ワタナベさんが、つくる人の気持ちに寄り添いながら、丁寧に手ほどきしてくださいました。
「これが入ると、とたんにカレーっぽい香りになりますね」と、ワタナベさんも賛同してくれたのはクミン。最初の香りづけとしても重要です。また柑橘系の風味のコリアンダーは、さらっとさわやかな南インド系のカレーに欠かせないスパイス。そしてターメリックは土っぽい香りもさることながら、色付けとしての役目も果たします。
生姜、唐辛子、陳皮(温州みかんの皮)など、「和のスパイス」があらかじめ入った和漢だし。これらの風味が重なることで、より複雑に、より深く。
材料/つくり方 材料/つくり方
[材料]
[食材]
メカジキ
2切れ(約250〜300g)
玉ねぎ
1/2個
トマト
1/2個(100g)
茄子
2本
さやいんげん
8本
にんにくみじん切り
1片分
生姜みじん切り
1片分
[スパイス]
クミンシード
大さじ1と1/2
ターメリックパウダー
小さじ1
コリアンダーパウダー
小さじ1
[調味料など]
1袋
唐辛子(タネは取り除く)
1/2本
薄力粉
小さじ2
白ワイン(酒でも可)
50ml
ココナッツミルク
100ml
ナンプラー(塩でも可)
小さじ1
醤油
小さじ1
塩
少々
粗挽き黒胡椒
少々
オリーブ油
大さじ1と1/2
[つくり方]
まずは鍋を火にかけ、オリーブ油、生姜、にんにく、クミンシード、唐辛子を入れます。「とくにクミンシードは焦げやすいので、弱火でじっくりと香りを立たせてください」とワタナベさん。
中火にして、具を炒めます。玉ねぎと茄子は、透き通ってしんなりするまで。「コクを出したい時は玉ねぎを飴色にしますが、おだしも入るので、そこまでしなくてもOK」またメカジキは、キッチンペーパーで拭いて生臭さをとり、塩・胡椒と薄力粉をまぶしてから投入します。「こちらも、軽く焼き目がついて白くなるくらいで大丈夫です」
あらかじめとっておいた和漢だし、白ワイン(もしくはお酒)もいっしょに。アクを丁寧にとりながら、ぐつぐつ、ことこと煮込みます。
さやいんげんを入れて蓋をし、弱火で8分煮たあとで残りのスパイス、ターメリック、コリアンダーを投入です。このあとココナッツミルク、ナンプラーを入れてさらに少し煮て、醤油・胡椒で味をととのえたら、もう完成です。
さながら南インドやスリランカのカレーのように。さらりとした軽さはありながら、食べ進めるたび、舌の奥までじんわり響くスパイスの味わいと、だしのうまみ。うだるような暑さと「時間も手間もかかる」と思い込んでいた自分を、さっと吹き飛ばしてくれるようなおいしさです。
つくってよかった!と思っていただけるはずですよ。
せっかく、手元にあるスパイスですもの。カレーだけでなく、いろんな料理に活用しない手はありません。そこでワタナベさんより「サブジはどうでしょう?」とご提案いただきました。
サブジとは、インド料理の一種で野菜の蒸し煮、炒め煮のこと。とくに南インドでは付け合わせとして、カレーと同じお皿に盛られて供されます。(カレー屋さんでご覧になった方も多いでしょう)
つくり方、教えていただきたいですよね。
材料/つくり方 材料/つくり方
[材料]
やさしい和漢だし(袋を破って)
1袋
オクラ
5本
玉ねぎ
1/2個
じゃが芋
2個(300g)
クミンシード
小さじ2
ターメリックパウダー
小さじ1
コリアンダーパウダー
小さじ1
にんにく
1片分
白ワイン
50ml
水
100ml
オリーブ油
大さじ1
[つくり方]
基本的な流れはカレーづくりと似ていますが、ここでは和漢だしの袋を破って、直接ふり入れました。水をほとんど使わないのがサブジの特徴です。また野菜はブロッコリーや茄子など、いろいろ応用できるので、冷蔵庫にある野菜でお試しください。
現地の人を気取って、カレーと混ぜながらいただきましょう。
ワタナベマキさん
1976年生まれ。 神奈川県出身。 グラフィックデザイナーを経て、2005年に「サルビア給食室」を立ち上げ、料理家としての活動をスタート。 ケータリングから始まり、雑誌や書籍、広告、テレビなど多方面で活躍の場を広げながら、多数のレシピ本を出版。近著に『ワタナベマキの梅料理』(NHK出版)がある。
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