干し野菜は昔から保存食として重宝されてきました。切って、干すだけ。この2ステップだけで、水分が飛んで保存性が増し、味も凝縮されます。さらに調理する際は味が染みやすく、時短にもなり良いこと尽くし!
実は今の季節は乾燥しているため、干すのに良い時期なのです。「“陽”の力を食べ物に取り込むことは、体にも良いはず」と、今回お話を伺ったコーディネーターの定松千歌さん。野菜を無駄なく味わえる、干し野菜を学びます。
必要な道具はカゴやネットだけ。用途に応じて野菜をカットします。きのこは石づきをカットして、小房に分けるかスライスして。葉物は一枚ずつ。根菜は輪切りや拍子木切りなど。薄くスライスしたり、ささがきにすると早く干し上がります。
水分の多いミニトマトも半分にカットして干せば、驚くほどに濃厚な味わいに。カット方法で食感が変わるので、色々試してみましょう。
お天気の日の朝に実践! 環境にもよりますが、半日からでも試せます。しっかり水分を飛ばすなら1週間ほどを目安に。雨天時や夜露が気になる際には一旦室内に取り込みましょう。
日当たりも大事ですが、風通しの良い場所で干すことがポイントです。上下返しながらまんべんなく。たくさん干すなら、場所を取らないネットが便利です。(トマトは上下返さず、そのままで)
今回干したのは、しめじ、エリンギ、れんこん、にんじん、ごぼう、ミニトマト。写真は2日〜1週間干したものです。(季節や日当たり、風力によって乾燥する日数が変わります)
密閉できる袋や容器に乾燥剤を入れて保存しましょう。水分が飛んだものは常温でも良いですが、きのこ類は冷蔵・冷凍がおすすめです。
ミニトマトはセミドライな仕上がりなので、オイル漬けにしても。
干したミニトマト
適量
オリーブ油
適量
塩
適量
お好みのハーブ(ローリエ、タイム、ローズマリーなど)
適量
① 清潔な密閉容器に塩をひとつまみふる。
② ハーブ、トマトを重ね、塩をひとつまみふる。
③ ②を繰り返す。
④ オリーブ油をひたひたになるまで注ぎ、1週間ほど漬け込む。
干し野菜は事前に戻して使用するのが基本です。定松さんに習うのは、戻し汁も活用するレシピ。残った戻し汁は煮物や味噌汁など他の料理にも使用して、無駄なくおいしく使い切りましょう。
※干し野菜は乾燥度合いでグラム数が変わるため、レシピの分量は適宜アレンジしてください
和風のだしに干し野菜のうまみが溶け出して、味わいがさらにアップ。朝いただけば、体が目覚めるおいしさです。
干したエリンギ、しめじ、れんこん
各10g
干した人参・ごぼう(ささがき)
各5g
戻し汁
500ml
A
鶏ひき肉
100g
おろし生姜
小さじ1
醤油
小さじ1/2
片栗粉
小さじ1
塩
適量
酒
大さじ1
醤油
大さじ2
ごま油
適量
① 干したエリンギ、しめじ、れんこんをひたひたの水で戻しておく。(水に一晩、または熱湯に3時間浸ける)
② [A]をボウルに入れて、よくこねる。
③ 鍋に[B]と干した人参、ごぼうを入れて火にかけ、沸騰後中火で2~3分煮出す。
④ だしパックを取り出して、①と戻し汁を加えて沸騰させ、アクを取る。
⑤ ②を一口大に丸めて加え、5分煮る。
⑥ 塩・酒・醤油を加える。お好みでごま油をたらす。
干しきのこはじっくり戻すことでうまみたっぷり。前日の夜に戻しておくのがベストです。
戻し汁で味が出るので、味付けは最小限で。濃厚なトマトの甘みが引き立つオイルパスタです。
お好みのパスタ
200g
干したエリンギ、しめじ、れんこん
各10g
戻し汁
200ml
ドライトマトのオイル漬け
ミニトマト約12個分
オイル漬けのオイル
大さじ1
にんにく
1片
赤唐辛子(乾燥)
適量
塩
ひとつまみ
胡椒
適量
① 干したエリンギ・しめじ・れんこんをひたひたの水で戻しておく。(水に一晩、または熱湯に3時間浸ける)
② れんこんは細かく刻み、にんにくはみじん切りにする。
③ 鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩(分量外)を加えてパスタを茹でる。
④ フライパンにオイル漬けのオイル、にんにく、赤唐辛子を加え、エリンギ・しめじ・れんこんを加えて炒める。
⑤ 戻し汁を入れて沸騰させて、赤唐辛子をのぞく。
⑥ ドライトマトのオイル漬けを加え、塩で味を調える。
⑦ パスタを加えて手早く混ぜ合わせ、お好みで胡椒をふる。
ねっとりとした食感を活かすため、セミドライトマトは最後に加えます。
実は簡単、干し野菜。野菜本来の味わいが濃く、常備したいおいしさです。干す場所がない場合は家庭用の乾燥機を使えば、室内で効率よく干し野菜が作れます。窓際で少しでも日差しを当ててあげましょう。
残った野菜も活用でき、戻し汁も大活躍。干すことで、野菜のおいしさを再発見できますよ。
定松千歌さん
THIS DESIGN(株)でコーディネーター・編集・プランナーなどを行う一方、さまざまな視点から「食べること」への認識を肥やす情報誌「PERMANENT」を発行し、ワークショップも開催。
THIS DESIGN
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